育休おじさん、はじめました。

育休おじさんにおれはなる!

出生届提出日に住民票を取得するなら窓口で

その休日、おれは珍しく早起きした。

ちなみにおれには休日だが、みなにとっては平日である。つまり有給休暇を取得した。出生届を出しに行くのだ。

この日の朝に病院に行き、出生届を入手したその足で役所に向かう予定だった。が、病院全体が面会禁止となったので、前日の晩に荷物の受け渡し窓口を通じて入手した。

役所の開庁時間に合わせて家を出る。朝から太陽がじりじりと照りつけやがる。自転車を漕ぐほどに汗が噴き出す。

出生届は何事もなく受理された。何か特別な気持ちが湧き上がるかと期待したが、特に感慨はない。

子のマイナンバー付きの住民票を取得したい旨、窓口の係員に告げる。健康保険の扶養家族に入れるためには個人番号を申告する必要がある。マイナンバーの通知は通常2-3週間後を目安に郵便で自宅宛てに届く。そんなに待つ気はない。住民票は今日取得し、明朝一番、職場に提出するとおれは決めている。

曰く、出生届に基づき今から戸籍情報を更新する。その間、時間を要するので窓口に足止めさせるのは忍びない。親のマイナンバーカードを使いコンビニで取得すれば手数料も安価だから、1時間後を目安にコンビニのマルチコピー機に向かってほしい、と。やけに親切じゃないか。

その後、野暮用を幾つか済ませるうちに気付けば2時間近く経過。見つけたセブンイレブンに入る。

が、出ない…マイナンバーカードをかざし認証画面を進めた後、「住民票の取得」ボタンを押しても取り扱い不可のメッセージ。

30分ほど間を空けて、今度はファミマへ入店するも同じ結果。これは戸籍情報の更新、1時間ぐらいでは済まないってことだな。

腹が減った。一時帰宅し昼食にする。正月早々、コロナに罹患した際に保健所から配給されたレトルトカレーだ。食事を終え、市のホームページやニュースサイトなどをザッと巡回し、コンビニ交付自体は正常稼働していることを確かめる。窓口交付の線に頭を切り替える。

再び自転車を出す。

午後からも別の予定を入れている。おれが平日に休む時はいつだって予定がめいっぱいだ。動線のことを考え朝とは別の役所に向かう。朝は本庁、今向かっているのは出張所だ。自転車圏内に役所が幾つもあるなんて都会はつくづく便利だ。

窓口で住民票を求めると即座に笑顔で言われた。マイナンバーカードをお持ちでしたらコンビニ交付の方がお安いですよ、と。

せっかちなおれはわずかな苛立ちを隠しながら午前中の顛末を告げた。職員の顔色が変わる。奥に引っ込み何やら調べ始めた。結果、その時点でもまだ戸籍情報の更新が完了していないことが判明。

どうりでコンビニ交付ができないわけだ。1時間程度、待ってほしいと言われたおれは迷うことなく一時外出を告げる。閉庁時間を確認し、呼び出し番号カードを握りしめて出張所を出た。

その後、予定していた雑用を手際よく片付け、出張所に舞い戻った。我が子よ、ついに君の戸籍情報が登録されたようだ。戸籍に載り、晴れて市民として住民登録がなされたよ。手渡された住民票には12桁のマイナンバーが付番されている。これで健康保険の手続きができる、と思った瞬間、我が子が公に、法的に迎え入れられたことを感じ、胸が熱くなった。